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私の電子工作 

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1.オーディオについて オーディオについての私の考え方です.
2.ヘッドフォンとヘッドフォンアンプ なぜヘッドフォンアンプかを私なりにまとめてます.
3.ポータブルオーディオプレーヤーと
  ヘッドフォンアンプ
ポータブルオーディオは出力が少ないのでヘッドフォンアンプを・・・という考え方は正しいのでしょうか?
4.ヘッドフォンで難聴にならないために 音を楽しむためのアイテムで難聴になったら笑えません.
5.ちょっといいヘッドフォンを買う とうとうSennheiserを買ってしまいました.
6.可聴周波数域チェッカ 聴こえてこそ音ですが,ほんとはどこまで聴こえているのか?
7.夏はイヤホンのお世話に 真夏にオーバーヘッドは無理です.そこでイヤホンを・・・

8.高性能オペアンプで第九とエンヤを聴く

TI,AD,NS,LT各社の最高レベルのオペアンプで聴いてみます
9.新日本無線 MUSESって・・・ どうやらMUSESが発売のようですが・・・・
1.オーディオについて
2005年の秋の初めの頃,私は高級オーディオを取り扱う店でヘッドフォンとアンプを何台か試聴しました.音源は高級CDデッキで,曲はギター独奏とオペラのアリアでした.すばらしい音の世界に酔って帰路に着きましたが,その途中,名もない若者が路上ライブをやっているところで私の足はとまりました.彼を取り囲む若い聴衆の興奮と演奏とが一体となって作り出す雰囲気は,生の音楽のみがもつ魅力に満ちていました.むろん超一流の技量には程遠い演奏ですが,それは,先ほど聴いたオーディオとは違う感動をもたらすものでした.

                     

「オーディオ」を辞書で引くと,「音響・音声に関すること。また、音響再生装置」と記されています.単純に定義すると,オーディオとは音響再生装置にほかなりません.

1887年に平円盤式レコードと蓄音機とが発明されました.その10年前に作られたエジソンの蓄音機は,どちらかというと一回限りの録音・再生機的なものでしたが,平円盤式レコードは同じ盤を大量に生産することを前提としており,この時点をもってオーディオが始まったといえるでしょう.同時に,これは音楽を大量生産する大衆/商業化,さらには規格/既製品化の始まりであったと思います.

ここで,あらためて考えてみると「音楽」の本質に,量産・商業化・規格化といった特性はふさわしいものなのでしょうか?いろいろな比較を行うことができます.舞台演劇と映画,伝承文学(琵琶法師や吟遊詩人など)と活字文学といった組合せが相当するかもしれません.ただ「音楽」には演奏者と聴衆との相互作用が不可欠な要素とするのであれば,録音された「音楽」は,舞台演劇と映画とが異なるように,伝承文学と活字文学とが異なるように,オーディオで再生する音楽はそれまでの音楽とは別のものになったと考えるべきでしょう.

もう少し冷ややかな言い方をすれば,オーディオとは冷凍食品を解凍する電子レンジに例えることもできるでしょう.冷凍食品は時代とともに大幅に改善されてきました.解凍機器や方法によっては元の味や食感を台無しにすることもあるでしょうが,うまく解凍すれば一流の味が再現できるという人もいます.ただ,いくらうまく解凍できても,冷凍食品はあくまで大量生産された工業製品です.料亭の板前がその日の食材を吟味して作る懐石料理や居酒屋の女将が客の顔を見ながら作る一期一会の料理ではないのです.

 

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2.ヘッドフォンとヘッドフォンアンプ
ヘッドフォンは大きくふたつのタイプに分かれます.

ひとつめは音響のプロがスタジオで使う高音質の密閉型をルーツとするものです.この分類の多くのモデルはインピーダンスが高いだけだなく,音圧感度が低いので,鳴らすためにはそれなりの出力をもつアンプが必要です.大きさもかなりのものですし,値段もけっこうなものです.いいところは,なんといっても,夜中でも他人がいるときでも,遠慮なくすばらしい音を大音量で聴くことができる点です.

ふたつめは,ウォークマンやiPodに接続するような,ポータブルユースの軽量モデルです.インピーダンスは低く,音圧感度はそこそこにあります.そのため低出力のアンプしか搭載してないモバイル音源でもそれなりに鳴らすことができます.軽く,小さく,持ち歩きに適しています.値段は多様ですが,ほどほどの値段でそれなりの品質のものが入手できます.「いつでも,どこでも音楽を」というウォークマン思想の申し子と言えるでしょう.

 

ヘッドフォンアンプのほとんどは,ひとつめのヘビーなヘッドフォンを鳴らすためのものです.普通のCDやMDのデッキは出力をアンプセットに繋ぐように意図されています.ヘッドフォン出力を備えたデッキもありますが,デッキ付属のヘッドフォン出力はモニター用でありメインの機能でないため,ほどほどの仕様になっていることが多く,ヘビーなヘッドフォンに能力を発揮させるには非力さが否めません.また,モバイルプレーヤー(ウォークマン,iPod,MD,MP3など)は,軽いヘッドフォンを鳴らす仕様であって,ヘビーなヘッドフォンを鳴らすだけの出力はありません.そこでヘッドフォンアンプが求められるわけです.

ちょっと計算をしてみます.ヘッドフォンが出す音の大きさ,音圧レベルPh (dB),ヘッドフォンの音圧感度Ps (dB),アンプからの入力Pe (mW)の関係は Ph Ps + 10log (Pe) です.ヘビー級としてAKG・ K501を,ポータブルとしてSENNHEISER ・MX 450を取り上げます.ついでに値段も示しますが,これは2005年11月時点でのkakaku.comで示された最安値です.

  音圧感度 (dB/mW) インピーダンス (Ω) 値段 (¥)
AKG・ K501  94 120  20,000
SENNHEISER ・MX450  116 16  1,580

110dBが目標の音圧レベルとしましょう.フルオーケストラのフォルテシモを指揮者の位置で聞く音圧レベル相当でしょう.AKG・ K501の場合は110=94+10 log (Pe)より40mWが110dBで鳴らすために必要な電力です.さらに120Ωのインピーダンスに打ち勝って40mWの電力を出すには,電力=(電圧の二乗)/抵抗 の関係から,アンプは少なくとも2.19Vの電位が出せなくてはなりません.他方,MX450は0.254mWで110dBが出ますし,そのときの電位は0.064Vです.

むろん見かけはヘビー級でもSonyのMDR-CD2000のように106dB/mW,32Ωといったものもありますから一概には言えませんが,「本格的」ヘッドフォンを鳴らすにはヘッドフォンアンプがあったほうがいいといえるでしょう.

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3.ポータブルオーディオプレーヤーとヘッドフォンアンプ
上の話の続きで,軽いほうの話です.CD,MD,MP3といったポータブルオーディオプレーヤーをポータブルのヘッドフォンで聴くときにヘッドフォンアンプを介することに意味があるかどうかなのですが,理屈の上では微妙な問題といえます.
ポータブルのヘッドフォンの大半の音圧感度は低いものでも104dB程度あり,インピーダンスは16もしくは32Ωです.ということはアンプの出力が1mWあれば104dBの音がするわけで,これは自動車の警笛を間近で聞く程度の音量ということになります.現実のポータブルオーディオプレーヤーの最大出力はカタログ値で見ていくと5mW以上はありますから,ポータブルヘッドフォンを鳴らすには不足ということはないはずです.しかしながら,現実にはかなりの割合の人がポータブルオーディオプレーヤーの出力は十分ではないと感じているようです.
 

この理由の一つは聞き手にあるように思います.具体的には強弱の幅が広い音楽を再生するとき,聞き手が弱音部をどの程度の音量に設定するかという問題にあるのではないかということです.例えばクラッシクの「ボレロ」を聞く場合を考えます.出だしはかすかに聴こえるクラリネットの旋律だけです.コンサートの客席で音圧レベルを測れば20dBあるかないかでしょう.しかし曲の最後はフルオーケストラがフォルテシモで鳴り響きます.客席の後のほうでも音圧レベルは105dBに達するかもしれません.この演奏を再生するとき,もし,最初の音圧レベルを40dB程度に設定すると,要求される最大音圧レベルは130dBに達することになります.音圧感度104dBのヘッドフォンを110dBで鳴らすのに必要な出力は4mWですが,130dBになると400mWが必要になります.そんな出力のポータブルオーディオプレーヤーは存在しません.ボレロの場合,音圧は曲の進行とともに徐々に大きくなっていきますから,次第に大音量に耐えられなくなるでしょうが,大半の部分は音量が抑制され,時折,大音量が響くような曲もあります.そうなると大音量部での音圧不足が目立つことになります.

ポータブルオーディオプレーヤーは移動中や屋外の騒音のレベルが高い環境で用いることが多いので,弱音部を聴き取ろうとして,ついつい音を大きくしがちです.むろん,弱音部を聞きたいがためにむやみに音量を上げるやり方は,機器に無理な要求をするばかりでなく聞き手の耳の健康を損なうよくない聴き方であることは言うまでもありません.この問題を解決するには,弱音がきれいに鳴らせる解像度の高いヘッドフォンを使うしかないでしょう.

今ひとつの理由は機器の側の問題です.ポータブルオーディオプレーヤーの最大出力が限られた条件で実現されるものかもしれないということです.たとえば電源電圧の問題です.電池は使用とともに電圧が下がっていきます.乾電池放電時の時間-電圧曲線を見ると,1.5Vが維持できる時間は全体の10%もなく,70%以上の時間がおおむね1.2V程度,最終的には1.05V程度の電圧になります.1.2Vは1.5Vの80%ですが,出力は電圧の二乗に比例しますから1.5V時をもって最大出力と称していれば,実際は,その64%の出力しかないかもしれません.そうであるなら「最大出力」が8mW以下のポータブルオーディオプレーヤーは,出力不足に陥る可能性は否定できません.

以上の観点からすると,機能を表す数字の上で「ポータブルオーディオプレーヤー+ポータブルヘッドフォン」という組合せにヘッドフォンアンプがまったく無用であるとは言えないかもしれません.しかし,実際のところポータブルオーディオプレーヤーだけでは「パワー不足を感じる」「低音に広がりがない」「高音に伸びがない」「平坦な印象がする」…といった感覚的なところでヘッドフォンアンプが求められているように思えます.アンプはあくまで音源からの信号を増幅する装置であり,理想的なアンプであれば信号の振幅を拡大する以外のことはしません.音量が足らないのであればともかく,再生される音楽の質的改善には役立たないもののはずです.それが音質向上のツールとして語られているのは,なんだか不思議な気がします.

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4.ヘッドフォンで難聴にならないために

ロックグループ,ザ・フーのギタリストだったピーター・タウンゼント氏が「スタジオでヘッドフォンを長年使用していたためにで難聴になった」と語っているそうです.ザ・フーは超過激なパフォーマンスと,異様な大音量のライブが売り物でした.普通の人は,彼らのライブを聴くと,しばらく難聴気味になったということです.ステージにいる演奏家達はリハーサルまで含めると毎日のようにそれを聴いているのですから,ヘッドフォン以前にそっちのほうがよっぽど難聴の原因だと思うのですが・・・

ただヘッドフォンを日常的に使うのであれば,難聴問題を一度は考えておくべきことでしょうし,危険性をよく理解しておかなくてはならないと思います.難聴の原因は,音の刺激によるものと,音以外の原因によるものがありますが,当然,ここでは音が原因の話をします.

 

まず急性の難聴です.その典型的なものは音響性外傷で,いきなり何かが爆発したときのような予期できない音の発生でおこる難聴です.125〜135dB以上の音圧で起き,内耳の細胞に障害を起こすそうです.もう少し音圧が低いものは急性音響性難聴と呼ばれ,音響外傷よりも弱い110〜125dBで発症し,事故ではなく,自分の意志で聞くことなどが違いとしてあげられます.早い話がザ・フーのライブを聴きに行ったときなどです.ヘッドフォンでロックをガンガンの音量で聴く場合なども,この危険に晒されることになります.この急性音響性難聴もやはり内耳の器官に障害を受けるためと考えられています.

ヘッドフォン愛好家がもっとも気をつけなくてはならないのが,急性ではなく慢性の騒音性難聴です.大音量を毎日聴いていると発症することが多いそうです.具体的には85dB 以上の騒音に長期間曝露され続けることのより生じる難聴で,騒音下にあって5年から15年の間に比較 的急速に悪化し,その後は緩やかに進むとされています. 音楽を大音量で長時間聞いていると,5年後ぐらいには騒音性難聴が生じる可能 性も言われているようです.

急性の音響外傷は発症後早期に治療を開始することで聴力が回復することが多いそうです.しかし, 騒音性難聴の治療法はないとされています.言い換えれば,自分で聴力管理を行うことができないと,たいへんなことになるわけです.予防法は聴く音の音圧レベルと時間を管理することです.94dB の音圧では一日60分以内が許容時間で,97dB ではさらにそれが30分と以内だそうです.安全のためには85dB 以下に 押さえて聞くことが望ましいということです.

個人的な見解なのですが,もっとも危険なのはのポータブルユースのヘッドフォンだと思います.私は列車やバス,さらに飛行機で移動するときにMP3を使うことがあるのですが,こういうものに乗っているときには,相当にボリュームを上げないと音楽が騒音に負けてしまいます.乗り物に乗ったときの設定のまま帰宅して再生すると,そのとんでもない音量にびっくりします.考えてみれば,交通機関の中の騒音は70dB前後の音圧ですから,そんな中で音楽を聴こうとするなら,平均的な音圧が85dB程度はないと,騒音にかき消されてしまいます.これだけで十分に危険域に近づくことになります.さらに,移動中に音楽を聴くような場合,その時間は長くなりがちです.またそれが通勤や通学であれば,毎日ということになります.そうなるとほんとうに危険な状態に陥ることになってしまいます.

いちばんいいのは,ポータブルユースのヘッドフォンは静かなところで設定した適性音量を守り,長々と聴かないことです.しかし,これは現実的ではないでしょう.長時間移動中に聞くことができないなら,ポータブルユースのオーディオを持つ意味が半減します.となると次善の策は,外部騒音を遮断できる密閉型かカナル型(耳栓タイプ)のヘッドフォンを使うことですが,かさばる密閉型を持ちまわることはできませんから,実際はカナル型を使うことになります.ただ,カナルは耳の中に異物を詰め込むわけですから圧迫感を伴います.私はどうもこれが苦手です.

それと私は,乗り物や公共の場で,外部の音が聴こえなくなることに不安を抱いています.乗り物の中では,乗車客へのアナウンスが流れます.どうでもいい内容も多いのですが,たまには,聞き流すと困るものもあります.さらに,危険を知らせるアナウンスや人の声を聞き逃すと,事故や火事で逃げおくれないとも限りません.そんなことは,そうそうあることではないとわかってはいても,やはり嫌なのです.

そんなこんなで私に関しては,ヘッドフォン難聴を予防するには「うるさい環境下で無理して音楽を聞かないこと」になっています.


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5.ちょっといいヘッドフォンを買う
とうとう,ちょっといいヘッドフォンを買ってしまいました.3個同時に.すべてドイツSennheiser社のモデルです.10年ほど前にAudio-Technicaのモデルを手放して以来のヘッドフォンらしいヘッドフォンです.

まず,ひとつめはHD580です.数年前に友人の家でHD580を聞かせてもらったときの音のよさにびっくりして以来ずっと「欲しいなあ」と思っていました.そのあと,あちこちでヘッドフォンの聞き比べをしましたが,正直言って,友人宅でHD580を聞いたときほど新鮮な驚きは味わえませんでした.他のヘッドフォンが聞き劣りするという意味ではなく,はじめて遭遇した本格派ヘッドフォンの印象が強烈過ぎたのだと思います.

S社のヘッドフォンラインナップは原則として数字が大きいほうが高額モデルです.HD580の上には,HD600,HD650という高額商品があります.値段は580が2万円台半ば,600が3万円台前半,650が4万円台半ばです.これらのモデルは,基本的には同一機構を使っていて素材のよさとモノとしてのつくりのよさが値段の違いだという情報もあれば,音のよさに違いがあるという人もいます.私も高額モデルにはそこそこに関心はありましたが,値段があまりに違うのと,40代半ばの私の聴覚ではとても違いがわからないだろうと考え580を選択しました.

手元に届いてすぐに聴いてみましたが予想どおり,まだ納得のいく音では鳴りません.よく言われるように,少なくとも数十時間にわたるエージングが必要なのでしょう.ただ,そうは言っても,現段階で,分厚い低音の響きや高音の安定感が格の違いを感じさせてくれます.1ヵ月後が楽しみですが,真夏になると,あの高級感溢れるイヤーパッドはうっとうしいかもしれません.

二つめはPX100です.これは高校生の息子の誕生プレゼントに買いました.いい音で音楽を楽しませたいからです.息子はしょっちゅうMP3を聴いていますが,かなりヤンチャなイヤホンで聴いています.分解能があまりよくないヘッドフォンで音楽を聴いていると,細かな音や弱音を聞き取ろうとして音量を上げがちになります.そうなると騒音性難聴が心配です.それと「いい音」が学習できるのは耳年齢が若いときだけらしいので,時期を逃したくなかったのです.

5,6千円前後の,このクラスには魅力的なヘッドフォンがたくさんあります.そのなかで,なぜPX100にしたかというと,私がHD580と聴き比べたかったからです.これはプレゼントする側のわがままです.ときどき貸してもらって楽しむつもりです.

これもすぐに聴いてみました.エージングで音が変わるかもしれませんが,当初から,しっくりしたいい音で鳴ってます.女性ボーカルがあでやかに,男性歌手のバラードが気持ちよく響きます.息子は今まで聴いていたヤンチャなイヤホンと,あまりに音が違うことに驚いています.エージングが完了していないHD580よりきれいに聴こえたりもします.

三つめはMX400です.MP3用です.今,使っているMPIO/FY400のイヤホンも決して悪くはないのですが,ちまたで評判のMXシリーズを聴いてみたくなりました.高級モデルなら,そこそこのオーディオショップに行けば試聴もできますが,さすがにイヤホンの試聴ができるところは,そうそうありません.それとネット販売なら千円台前半ですから,手数料・送料を考えれば上述の2モデルを買うついでに買うのが得策だという判断です.

MXシリーズの最新機種である550ではなく,なぜ旧機種の400を選択したかですが,余計な機能を避けたのとインピーダンスが高かったからです.MX500とMX550にはイヤホンコードの途中にボリューム機能がついています.これは,一見,便利そうですが不要なだけでなく,故障,断線の原因になりやすいので,私は敬遠します.それと400が450になるとインピ−ダンスが32Ωから16Ωに下がります.たぶん低出力のモバイル機器のための配慮と思えます.こうすれば音量はかせげるようになりますが,高音が伸びなくなりがちです.こういうわけでMX400にしました.

これもすぐに聴いてみました.これが今回の一番の驚きでした.中音の分解能のよさはPX100より上のようにさえ感じます.ボレロを聴いてみると,曲の冒頭にピアニシモで奏でられるクラリネットがきれいに聴こえます.これまで使っていたイヤホンでは考えられないすごさです.夏の暑い間は,もっぱらこれで済ますことになるかもしれません.

ヘッドフォンのエージングがそこそこ進んだところで,曲,音源,アンプそしてヘッドフォンをいろいろに組合せで鳴らしてみようと思っています.とても楽しみです.


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6.可聴周波数域チェッカ
オーディオ機器の音源,アンプ,ヘッドフォンなどの性能はいろいろな数字で示されますが,基本となるものの一つは出力の周波数依存性,いわゆる周波数特性(f特性)でしょう.一般的にはフラットに再生できる音域が20-20kHzというのが基準になっています.マニアはより低音が出せるように,より高音が出せるようにがんばります.

ただ人間は年齢を重ねると聞こえる音域が狭くなります.2006年にイグノーベル賞が贈られたものに,教師の年になると聴こえない高い周波数を着信音にした携帯電話があります.

私もアンプ設計をするときには再生音域20-20kHz基準でやってますが,これを製作して試聴をするとき,実際自分はどこまで聴こえているか疑問に思っていたところ.可聴周波数域チェッカなるソフトがあることを知りました.詳しい説明は作者のサイトにありますが,要は,自分はどこまで高い周波数が聴こえるものかをチェックできるソフトです.

ダウンロードして,やってみました.私は調子がいいときで16.5kHz,悪ければ14.5kHz,15.5kHzというところがアベレージです.家内は良くて15kHz,14kHzがアベレージでした.ところが,高校生の息子は20.5kHz,中学生の娘は21.5kHzまで聴き取れます.若干,個人差はありますが加齢の影響は明確です.つまり,いくらいい装置を使っても,私にはもはや高音域は聴こえないという悲しい現実が,はっきり数字で示されたわけです.

加齢による可聴域の狭少化は,いわゆるオーディオ評論家の人たちとても免れることができません.大家のなかには,かなりの年齢の方もいます.ということは,彼らとて高い周波数は聴こえないままに「高音の伸びがいい」だの「高音に艶がある」だの言ってるわけです.むろんオーディオの音質が周波数特性だけで決まるものではなく,最終的には感性にどこまで響くかが大事な点だとは分かっていますが,可聴周波数域チェッカーの実験でホントに聴こえない領域が明らかにあることを体験した後では,評論をそうそう素直には信頼できなくなりました.

中高生の頃,安いステレオラジカセで歌謡曲を聴いていたときの方が,いまSennheiserで聴くより,より多くの音が聴こえていたと思うとちょっと悔しいです.

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7.夏はイヤホンのお世話に
2007年の夏は地球温暖化を思い知らされた酷暑,残暑でした.この暑さで,オーバーヘッドのヘッドフォンはとうてい使う気になりませんでした.耳の上やまわりに断熱材のようなパッドくるともうたまりません.それに汗がパッドにしみればヘッドフォンの傷みも進みます.そこで,この夏はイヤホンを多用しました.

今,私の手もとあるイヤホンは三つです.

一つめはSennheiserのMX400です.以前に中音域がとてもきれいに聴こえると書きましたが,しばらく使っていると高音域もいい感じで聴こえるようになったと思います.MP3用に用意しましたが,MOS-FETのデスクトップヘッドフォンアンプを作ってからは,これによくつないでいます.

二つめはダイソーの525円イヤホンです.出張先で,MX400を自宅に忘れてMP3のイヤホンがないことに気づいて買いました.驚くべきコストパフォーマンスです.低い音が不足かなとも思えますが中高音はしっかり鳴ります.MP3用にMX400に替えて使うことにしました.これなら断線させてもそんなに惜しくはありません.

三つめもダイソーものですが420円イヤホンです.525円モノが良かったので,これはどうかなという好奇心に負けて買いました.コストパフォーマンスは525円モノより劣るように思います.525円モノはけっこう繊細な音が出ます.弦楽器や女性のボーカルが気持ちよく聴けます.420円モノはこの繊細さが足りません.どこか粗い感じが残ります.ただ低音側は525円モノよりやや広いようです.ドラムがズンズンはいるようなロックなら525円モノより,相性がいいようにも思えます.

MX400も含め,廉価品ばかりですが満足しています.イヤホンはどうしても構造的に脆弱な上に,持って回って外出先で使います.このため,よく壊れます.消耗品と考えなくてはなりません.壊れても「しかたないか」といえる程度の値段で,それなりの音がすればいいというのが私のスタンスです.第一,出先の騒音に満ちた環境で,そうそう音質にこだわってもはじまりませんから.

以前に「ポータブルプレーヤーをポータブルのヘッドフォンで聴くときにヘッドフォンアンプを介することに意味があるかは微妙な問題」と書きましたが,そこそこには効果があるようです.イヤホンをMP3プレイヤーに直付けした場合と,自作のヘッドフォンアンプを介して接続したを聴き比べたところ,ヘッドフォンアンプを介したほうが鮮明に聴こえます.アンプによる音の色づけもあるでしょうが,MP3プレイヤーの貧弱な出力では,やはり32Ωという重い負荷を駆動すると歪みが多くなるようです.ヘッドフォンアンプは入力インピーダンスが高いので,MP3プレイヤーの出力は少なくて済み,これが歪みの低減になっていると思います.手もとに分解した「ボリュームあっぷ」がありますから,そのうちこの筐体でポータブルヘッドフォンアンプを作ってみようかと思い始めました.

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8.高性能オペアンプで第九とエンヤを聴く
オペアンプ試聴用のアンプを改造しました.せっかくですから,いいオペアンプを,いつもとは少し違う曲で聴こうと思います.年末でクリスマスイブなので,第九とクリスマスソングを選びます.

オペアンプですが,TI(Texas Instruments)のOPA2228,AD(Analog Devices)のAD8620,NS(National Semiconductor)のLME49720を選びました.Dualのオーディオ用オペアンプとしては,各社のトップレベルのものだと思います.

人類の宝の第九は,クラッシク評論の宇野功芳氏によれば,フルトベングラーがバイロイトを振った1951年のライブ演奏だそうです.私も持ってますが,これはモノラル録音で音の鮮明さがものたりません.そこで新しい演奏を選びました.2002年に小澤征爾がサイトウ・キネンオーケストラを振ったものです.

クリスマスソングはポップなナンバーも考えましたが,高性能オペアンプの聴き比べですから,やはり音の深さを味わえるものがいいだろうということで,エンヤの6 TracksからOiche Chiunを選びました.「きよしこの夜」をケルト語で歌ったものです.

                

 

試聴する機器ですが,試聴用のアンプはChu Moyの改造版です.ソースですが,PCにWAVファイルで収めたものを再生するのに,いつもはC-Media Electronics Inc. CM102搭載のイージーUSBオーディオを使いますが,今回はPCM2704のダイレクト出力を使います.ヘッドフォンはむろんHD580です.

 


OPA2228P

Sym.#9
小澤・サイトウキネン
重量感のある鳴らし方です.かといって繊細さに欠けることもありません.この曲の聞かせどころのひとつは,第四楽章にはいり,バリトンがソロで主題を歌った後,コーラスが呼応するところですが,感動的に響きます.
Oiche Chiun
Enya
濃密です.曲前半はエンヤが,口の動きが見えるほどの間近で歌っているような存在感があります.中盤に入りバックコーラスが加わると輻湊的な音空間が広がるのが実感できます.


AD8620

Sym.#9
小澤・サイトウキネン
弦の響きがここちいいです.第九は第四楽章に心を奪われがちですが,私は第一楽章の冒頭も好きです.ピアニシモで第一バイオリンが主題を奏でた後,徐々に緊張が高まり,フォルテでオーケストラが主題を再度,鳴らせます.この弦の音がみごとです.
Oiche Chiun
Enya
温もりを感じます.エンヤの魅力は力まないゆったりした歌い方だと思いますが,このボーカルの特徴がとてもよく出てきます.暗い教会の中で蝋燭の暖かい光を見るような音色です.


LME49720

Sym.#9
小澤・サイトウキネン
よどみやストレスをまるで感じさせない響きです.それぞれの楽器の音の切れや分離のよさが際立ちます.指揮者の位置でオーケストラを聴くと,こんな感じに聴こえるのではないかと想像してしまいます.
Oiche Chiun
Enya
透明感がすばらしいです.ノイズの低さのためか,雑味のない澄み切った音が広がります.一つ一つの音が精密に鳴らされ,きわめて緻密な感じがします.曲想は暖かいですが,描き出される音の空間はクールです.
 

まったく個人的主観ですが,濃厚さのOPA2228,温かみのAD8620,クールさのLME49720というところでしょうか.このレベルの音になると何かが不足することはなく,高次元でバランスしているうえで微妙な味付けがどうかというようなものに思えます.

<追記> 上の記事をクリスマスイブに書いてアップロードしたところ,Linear Technologyファンの友人から「LTの代表がないのは不満だ」とのメールが送られてきました.彼の考えるところのLT代表はLT1364だそうで,オペアンプも貸すから聞くようにとのことです.そして,年末に届きました. 彼の説明をもとに調べてみるとなかなかのもののようです.ケンウッド創立60周年記念限定モデルのカーオーディオ K-TR10D・K-TR10Aのプリアンプ部に使われています.聴いてみました.とてもよかったです.ただ正月に聴くクリスマスソングはえらくマヌケです.

 


LT1364

Sym.#9
小澤・サイトウキネン
弦の音がきもちいいです.LTのオペアンプはいくつか聴いてきましたが,この美点は共通のようです.感触的には爽やかな音色です.でも,か細い感じはしません.フルオーケストラが鳴るフィナーレも余裕で響かせます.出力に余裕を感じます.
Oiche Chiun
Enya
これも爽やかに聞かせてくれます.エンヤの歌い方はオペラ歌手の発声とは異なり文章を朗読する発声の延長のような感じだと思うのですが,このアンプの音はその声がきれいに聞こえます.清らかさの演出では最高かも知れません.

 

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9.新日本無線 MUSESって・・・
二,三年前からアナウンスとごく少量のサンプルだけが公表されていた新日本無線のNJM5720『オーディオ用オペアンプのフラグシップモデル“MUSES(ミューズ)”』がどうやら量産体制を整えたようです.専用オフィシャルWebサイトも作成され,本格的サンプル出荷も開始されます. 

ただこのサイトを見て気になることがいくつかあります.

まず,ホンモノの写真がないことです.オフィシャルWebサイトを一通り見ましたが見当たりません.TIやNSのサイトにオペアンプの写真があるかといわれると,そうそう目立つ形で掲載されてはいませんが,なんせMUSESは「立ち消えになった」とか「中止の決定がされた」とかネガティブな噂が立っていたシロモノですし,専用オフィシャルWebサイトまでこしらえたのなら,やはり「実在するんだ」という感覚を確かなものにできるよう,現物の写真はあってしかるべきかなと思います.

次に気になるのがスペックです.このごろのNS,TI,ADのオーディオ用のオペアンプに加え新日本無線のオーディオ用オペアンプとして定評のあるNJM2114のスペックを並べてみました.

  NJM5720 LM4562 OPA827 AD8620 NJM2114
Input Bias Current / pA   200 10000 ±15 2 700
Input Voltage Noise / nV√Hz 1kHz   9.5 2.7 4 6 5.5
Common-Mode Rejection / dB   75 120 126 95 100
Open-Loop Voltage Gain / dB   105 140 126 120 100
Gain-Bandwidth Product / MHz   3.3 55 22 25 13
Slew Rate / Vus   12 20 26 60 15
Settling Time: 0.1% / us   na 1.2 <0.55 0.6 na
Total Harmonic Distortion + Noise (THD+N) / %   0.002 0.00003  0.00004 0.0006 0.0005
Channel Separation / dB   150 120 -- 137 na
Current Output / mA   ±25 ±26 ±35 ±45 60
Specified Operating Voltage / V   ±18 ± 17 ±18 ±13 ±22

クロストークの少なさ以外は,正直言って,何がNJM5720ウリなのかわかりません.GB積やTHD+Nの値などは何か間違えたのではないかと思い何度も確認しました.JFET入力らしいですがIbがやたらと大きいです.スペックだけでいうならNJM2114のほうがいいように見えます.オーディオの音質がスペックだけで決まるものではなく,最終的には感性にどこまで響くかが大事な点だとは分かっていますが,このスペックを示されると,はなはだ頼りなく感じてしまいます.

データシートも中途半端な印象です.たとえば過渡応答性のよさをアピールしたいのか,条件を変えてのグラフが三つも示されていますが,Settling Timeの数字は示されてはいません.さらにオフィシャルWebサイトにもデータシートにも,NJM5720の特性を活かすための使用例の回路がまったくありません.NSのLM4562のデータシートに14ものApplication Informationとしての回路が示されているのとはひどく対照的です.

最後に,そしてもっとも首をかしげるのが,サンプルの配布方法とその価格です.MUSESのオフィシャルWebサイト内には問い合わせのフォームはありますが,サンプル価格とその配布方法は示されていません.NJMのプレスリリースのページにたどり着いて,はじめてサンプル配布対象は法人のみでサンプル価格は1個3000円だと判明します.ここまでくると,新日本無線そのもののスタンスが,ずいぶんちぐはぐに思えてきます.法人を相手にしてビジネスをするなら,雰囲気だけを売り物にする「専用オフィシャルWebサイト」は無用です.なにより必要なのは,他社の製品と特性を比較検討できる内容の充実したデータシートでしょうし,プロを相手に数字で表現できない何かをウリにするなら,それを実感してもらえるサンプル提供が欠かせないと思います.ところがデータシートは中途半端な上に,サンプルを有償にし,その上で1個3000円などという値付けは,大口ユーザーになるかもしれない法人に「採用検討したけりゃ金もってこい」と言わんばかりの営業活動であり,殿様どころか将軍様商売と揶揄されても仕方がないように思えます.

いちアマチュアとしてはちょっと聞いてみるだけに3000円も払いたくないし,そもそも個人ではサンプル請求ができませんから,その筋の友人に「NJM5720が手に入ったらちょっと貸してもらえないかな?」と打診してみましたが,今のところ入手検討する予定はないということでした.まず,オーディオではない用途(測定器や制御機器の類?)には明確な性能上のメリットがないので採用する意味がまるでないということ,オーディオ用としてはNJM・MUSESに現時点ではブランドイメージがあるわけではないので,あえて使うことはないということでした.つまり,MUSES搭載と宣伝するよりは,NSやBBの高精度オペアンプ搭載とするほうが,はるかにウリになるということのようです.ということで,大変興味はあるのですが,NJM5720は発売されましたが,私にとっては当面(あるいはずっと?)は依然として幻のオペアンプということで試聴することはできそうもありません.新日本無線さん,よかったら貸してください.

この話でちょっと思い立って手元の新日本無線製のオペアンプを調べ,東京出張のついでに秋葉原でいくつか買い増しをしてきました.せいぜい1個100円程度のものばかりです.これらをまとめて聞いてみることにします.

 

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