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1.ミキサータイプヘッドフォンアンプ

1.1 企 画

私の机とその周りにはデスクトップPC,ノートPC,さらにテレビにCDなどがあります.仕事や趣味はデスクトップPCですることが多いのですが,このときBGMとしてCDを鳴らしたり,テレビでスポーツ放送を流したりしています.またノートPCは電話/ファックスとして使っています.

我が家は普通のマンションです.昼間,一人だけなら,これらの機器を同時に走らせ,そこそこに音を出すことができますが,そんなことはそうそうありません.普段はうんと控えめに音を出します.夜更けは,ヘッドフォンを使うことになります.当然,ヘッドフォンを同時に2個を耳に当てることはできませんから,同時使用はできませんでした.これにマイクの問題が加わりました.デスクトップPCでスカイプをやるようになって,それまでノートPCにセットしていたヘッドセットを,スカイプをやるときにはデスクトップに差し換えて使わなくてはならなくなったのです.面倒なことになってきました.

使い勝手をよくしたいと考えました.もっとも安直な方法はデスクトップPCにすべての機能を詰め込むことです.テレビ,CDプレーヤー,電話/ファックスのすべての機能を集中させれば一台のマシンだけで済みます.しかし問題があります.まず金がかかります.もうすぐ役立たずになる地上波受信のTVボードだけでも数千円はするでしょうし,CPUも強力なものが必要になります.

次に安定性です.Windows2000以降,PCの安定性は上がってきましたが,やはり,むやみなマルチタスクは避けたいところです.さらに調べると最近はデスクトップPCで電話/ファックスを行うことが,ハード的にもソフト的にも困難だとわってきました.

そこで,音声出力を一ヶ所に集め,それにヘッドフォンを繋ごうと考え始めました.マイクのほうは,逆に一ヶ所にマイクを繋ぎ込み,これを分配すればいいというアイデアです.なにか既製品がないかと思いネットを探してみましたが,これで解決というものはありません.こうなったら久しぶりに作るしかないと決めました.

まず考えてみたのがステレオ入力の切替器です.ロータリースイッチかボタンで入力するラインを選べるようにすることはできます.しかしながら,よく考えてみると,これでヘッドフォンを抜き差しする手間は省けますが,同時に使用することは出来ません.CDやテレビ音声を聞きながらPC作業が出来るようにするためには,ミキサーでなければならないのです.

1.2 設 計

メイン機能の複数入力の音を聴くことができるようにすることは,とりもなおさずミキシングアンプを作ることになります.いくつかの方法はありますが,最も簡単なのはオペアンプを用いる反転加算増幅回路でしょう.マイクのほうは簡単です.マイクアンプの回路を作り,出力をデスクトップPCとノートPCに出せるようにすれば済みます.電源は,家の中だけで使うので,どうとでもなります.アダプターからの入力をきれいにすれば済むでしょう.

以上の考えに基づいて設計しました.

まず,ミキシングアンプ部です.基本仕様に忠実な反転加算増幅回路です.心臓部は二回路入りのオペアンプで,NJM4580DDを使いました.増幅率は約5です.左から3系統の入力があり,これを二連ボリュームを通してオペアンプに流し込みます.反転加算増幅された信号を切替スイッチで二経路,スピーカーとヘッドフォンとに出力できるようにしてます.オペアンプ後段のコンデンサは不要かもしれません.

次はマイクアンプです.手間取ったのがヘッドセットのマイクの仕様に合わせることです.私が使っているヘッドセットは2001年頃のTEAC製です.本体を調べましたが品番は不明です.この手のヘッドセットのスペックは似たようなものだろうということで,ネットで調べてみると,PC用のヘッドセットのマイクは,エレクトレットコンデンサマイクでインピーダンス2.2kΩが一般的仕様とわかりました.いわゆるプラグインパワー方式です.ということで,マイクアンプ回路が決まりました.何の変哲もない一石の増幅回路です.マイクにかかる電圧の変動を避けるために100uFの電解コンデンサをマイクの直前に入れているくらいが技術的ポイントです.コレクタからの出力はデスクトップPCとノートPCに出せるようにふたつのジャックにつながっていますが,それぞれのジャックに直流遮断コンデンサを入れています.というのも,デスクトップPCとノートPCのそれぞれのジャックにも直流電圧がかかっているので,これがマイクアンプや別のPCに流れ込まないようにするためです.なおコンデンサ前後の電位が繋ぐ機器しだいで反転する恐れがあるので,無極性電解コンデンサとしました.

電源回路は三端子レギュレータで簡単にやりました.オペアンプに正負の電圧を供給する必要があるので,コンデンサと抵抗で元電圧を二分割してます.

回路を決めたら今度は基板と本体です.以前は回路図をにらみながら方眼紙の上に鉛筆で部品を書いては消して,部品のレイアウトと配線を考えていましたが,今回はPCを用いました.利用したのは,フリーのCADソフト,JW−CADです.キャンバスに2.54mmを単位とする目盛り間隔を設定すれば,まさしくバーチャルのユニバーサル基板です.

基板に半田付けする部品の配置を終えると,必要な基板の大きさがほぼ決まります.さらにケースに取り付ける部品,ボリュームやジャックの取り付け場所を想定しました.ジャックは機器の裏側に集め,表側にはダイヤル,スイッチとLEDを配置しました.この段階で気付いたことは,二連ボリュームやΦ3.5ミニジャックはけっこう場所を取るということです.

仮配置を決めたところでケースと基板を探しました.ケースは,目に付かないところに隠しておける用途であればなんでもいいのですが,今度の用途ではずっと机上に置くことになります.そうそう見苦しいものは使いたくありませんでした.最終的にはテイシン電機のTB-12を選びました.このケースにはぴったり収まる専用基板が用意されています.

ケースに取り付ける部品と配線のスペースを確認し,最終的に基板への部品レイアウト決定しました.

1.3 製 作 

まず基板への部品取り付けです.電源回路からやりました.DCジャックを仮付けし,電圧をかけてみると8.98Vとなりました.次にパイロットランプにするLEDに直列配置する抵抗値を決めました.可変抵抗を仮付けして通電し,適当な明るさでLEDを光らせて取り外し,測定し,抵抗値を決めました.

ミキシングアンプ回路の組み込みですが,オペアンプは8Pのソケットを介して基板に取り付けました.ところで,アンプ周りのほとんどの部品を取り付け終えたときに,私は大失敗をしていたことに気付きました.2回路入りのオペアンプでは,通常,P4とP8とが電源になります.そして,P4が-V,P8が+Vとなのですが,私は何を勘違いしたのかこれを逆にしたまま,部品配置をしてしまったのです.いったん外してやり直そうかと思いましたが,気力が出なかったので安易に配線だけで逃れました.もしノイズが入るようならやり直しです.3入力のうち1入力分の部品まで取り付けたところで,通電,音源を接続し,アンプとして機能していることを確認しました.幸いノイズは聞こえませんでした.

マイクアンプ回路でもちょっと失敗をやりました.おもしろ半分でダイソーの100円ラジオをばらして取ったS9014を増幅用トランジスタに用いました.しかし,これのエミッタ,コレクタ,ベースの配列は2SC1815等とは異なっているのです.しばらく混乱しましたがなんとかなりました.マイクアンプ回路も,一通り機能するところまで部品を取り付けたところで,確認しました.

基板へのすべての部品の半田付けが終わると機能を確認し,イモ半田がないか,ショートしそうなところはないかをチェックし,三端子レギュレータの温度上昇を調べました.回路がそこそこに電力を必要とするなら放熱板が必要です.しかし今回の回路には不要と判断しました.

次はケースの加工です.はじめに,ケースにマジックペンで印を書き込んでから,ミニルーターで穴あけ加工をしました.これにジャック類とボリューム,切替スイッチ類を取り付け,基板と結線しました.最後は表示です.テプラを使いました.

製作途上で写真を撮っていないので基板とケース内の状態をお見せできなくて申し訳ありません.次に改造を行うときにでも内部の写真を撮っておきます.とりあえず外観はご覧のとおりです.

 

 

1.4 自己評価

一台のアンプに,複数台の出力を集めそれにヘッドフォンを繋ぐ,同時にひとつのマイク出力をマイクアンプを複数台に出力するという目標は達成できました.

使い勝手は良好です.ミキシングアンプに関しては,入力それぞれボリュームをつけたのは正解でした.手をちょっと伸ばすだけで,3入力を調節ができるのはとてもラクです.出力をヘッドフォンとスピーカー切替にしておいたのも正解でした.音楽をスピーカーで聴いていたところに電話やスカイプが入った場合,ワンアクションでヘッドフォン出力に変更できます.マイクの入出力には,回路を見るとわかるとおり,ボリューム調節を入れていませんが,これはPC側で調節することで十分でした.

ミキシングアンプの音質は正直言ってわかりません.実は,私の手元には,現在,音源もヘッドフォンもそれほどいいものがないので,音質を云々するほどの聞き分けは出来ないのです.あえて言うなら,普通レベルの音はします.

マイクアンプの音質ほうも,私自身はよくわかりませんでしたが,いつもスカイプで話している友人が「聴き取りやすくなった」「音がよくなった」と言っていますから,こちらは効果があったのでしょう.エレクトレットコンデンサマイクの出力は微弱です.普通,これがそのままPCのオーディオボードに送り込まれ増幅されます.PC内部にはオーディオ信号のノイズとなる要因がいくつもありますから,PC内で大きく増幅すると,ノイズもしっかり増幅してしまい,音質が劣化しているのでしょう.マイクアンプを挿入し,いくらか増幅してからPCに送り込むことで,多少,音質が向上したと考えています.

 

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